日本における金融教育の実態~日本証券業協会の調査報告書を読み解く①~
皆さんは、小学生、中学生、高校生、大学生の頃、金融教育を受けたことはありますか?
私は、新卒で証券会社に入社するまで、金融の「き」の字も分かっていませんでした。
金融の授業を受けた記憶もありません。
そして、金融について分かっていないということすら、知らずに生きていました。
それでは、日本における金融教育とは、いったいどうなっているのでしょうか?
日本証券業協会が平成26年4月に、大変興味深い調査報告を発表しました。
これを読み解きながら、日本における金融教育の実態はどうなっているのか、
確認したいと思います。
この調査の調査対象は
①全国の中学校の社会科、技術家庭科の担当教諭
②全国の高等学校の公民科、家庭科の担当教諭
③全国の商業科設置の高等学校の商業科担当教諭 です。
そうです。当然ですが「金融」という科目は存在していないので、社会科や家庭科の先生が「金融教育」を行っているのです。科目としては、遠からず近からずという感じでしょうか。
でも、なぜ「金融」という科目はないのでしょうか?「金融」って生きていくうえで
欠かせないもので、現在普通に学んでいる「国語」とか「日本史」とか「化学」とか、
こういった科目と同じぐらい重要なのではないかと個人的には思います。
それでは、現在、金融経済教育を行っている年間の時間数はどれぐらいでしょう。
各学年別で最も多かった時間数は以下のような結果でした。
中学1年生:0時間(74.2%)
中学2年生:0時間(58.2%)
中学3年生:1~5時間程度(44.6%)
高校1年生:1~5時間程度(60.9%)
高校2年生:1~5時間程度(49.3%)
高校3年生:1~5時間程度(47.7%)
なんと!?
これは、金融教育を行っているうちに入るのでしょうか?
5時間以内の学習で身につく知識ってどういったものなのでしょうか?
では、この短い時間で具体的に何を学んでいるのでしょう?
ここでは、「消費生活に関する分野」と「金融・経済に関する分野」の2つの分野に分けて
調査をしています。
まず、「消費生活に関する分野」を見てみましょう。(上位5つ)
1:消費者問題と消費者保護(70.7%)
2:消費者の権利と責任(67.4%)
3:クレジット、ローン、証券など(38.8%)
4:生活設計と家計管理(27.6%)
5:お金の大切さや計画的な使い方(24.9%)
次に「金融・経済に関する分野」です。(上位5つ)
1:経済の基本的な仕組み(55.6%)
2:財政(34.8%)
3:銀行の仕事(29.2%)
4:企業の役割・社会的責任(CSR等)(28.2%)
5:資金(お金)の流れ(26.8%)
となっています。
いかがですか?結構バクっとしているので、具体的に何を学んでいるのかがちょっと
分かりにくいですが、5時間以内で学べる内容ではないような気がします。
でも、やらないよりはいいですよね。ただ、表面をさらっとなぞる、という感じでしょうか。
今回、日本における金融教育の実態について、初めてしっかりと考えてみました。
率直な感想は、やっぱりという感じです。
私自身、学校で「金融」の授業を受けた記憶がないので、この調査結果は当然ですね。
そして、この調査はまだまだ続きがあります。
今回はちょっと長くなってきたので、なんでこういうことになっているのかは、
次回考えたいと思います。ぜひ次回もお付き合いください。
こういう本、なかなか購入するのに勇気がいりますよね。