ともらぼ~CFPが100歳人生を考える~

金融教育がほとんどされない日本。その中でこれから迎える100歳人生をどう生きていくかを考えます。

公的年金は物価上昇についていけない仕組み!?

こんにちは、tomoです。先週は猛暑でしたが、今日は梅雨が戻ってきたみたいなお天気ですね。

さて、ここ何か月かいろいろな物の値段が上がり、値段が変わらない物を見つける方が困難になってきました。日本ではしばらく感じられなかった「物価上昇」を毎日感じていらっしゃるのではないでしょうか。

こんな物価がどんどん上昇している状況において、受取れる公的年金の額は増えていくのでしょうか?

年金も物価の上昇に合わせて増えることになっていますが、「マクロ経済スライド」という制度によって、物価の上昇率と同じ分は増えないようになっているのです。
そこで今回は、「マクロ経済スライド」について解説します。


マクロ経済スライドとは?

社会情勢(現役人口の減少・平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みで、2004年から導入されています。2004年以前は、物価や賃金上昇に応じて年金額が改定されていましたが、現在は、「賃金・物価上昇率ースライド調整率」で年金額は計算されます。


2004年以前の年金額

物価や賃金上昇に応じて年金額が改定されていたので、

物価が1%上昇 → 年金額も1%上昇
物価が1%下落 → 年金額も1%下落

というように、物価が上昇すれば年金額も上昇し、安心できる仕組みでした。


現在の年金額

賃金・物価上昇率ースライド調整率

で計算されるため、スライド調整率が0.3%だとすると、

物価が1%上昇 → 1%から0.3%を引いた0.7%上昇

というように、物価の上昇率に年金額の上昇が追い付かない様になっていて、少し不安が残ります。


キャリーオーバー

物価の上昇率がマイナスの場合や、0.3%よりも少なかった際は、引ききれなかったスライド調整率を翌年以降に繰り越す制度です。

(ケース1)

物価の上昇率が-0.5%だった場合、その年はスライド調整率を適用できない為、翌年のスライド調整率は0.3%+0.3%で0.6%になります。

(ケース2)
物価の上昇率が0.1%だった場合、その年は0.1%しかスライド調整率が適用されない為、翌年のスライド調整率は0.2%+0.3%で0.5%になります。

キャリーオーバーというと、スポーツくじなどを連想されて、当選金額が上乗せされるイメージですが、年金のキャリーオーバーはなんだか嬉しくないキャリーオーバーです。


まとめ

現在0.3%のスライド調整率が適用される為、年金は物価の上昇率に負ける様になっています。マクロ経済スライドが導入されている限り、年金は物価の上昇についていくことができないということです。どんどん物価が上がっている中で、公的年金だけで生活していくことはどんどん難しくなっていくでしょう。

物価の上昇についていける資産を、自助努力で準備しておいた方がいいかもしれません。